≪多事争論≫                                平成18年8月23日    



テーマ 「経営者の理念とは」     


介護保険が施行され6年目となり、誰の目にも「もはや介護は一つの産業、ビジネス」であるという見方が定着したこの頃です。
確かに厚生省の思いはそうです。介護産業、ビジネスの普及と定着が目下の目標でした。

 ここで同じ社会保険制度にある医業を思い出してください。病気を治す病院、診療所、医者、看護職員に対し、みなさんは医業という言葉をどう受け止めるでしょうか?確かに医なる業ですから医業は正しいかもしれません。でもみなさんは「ちょっとおかしい?」と感じるのではないでしょうか?まして、先生(経営者)が「我々は医者の仕事は医業ですから」と発言したとしたならば強烈な違和感を感じるのではないでしょか?それは医業という言葉に人命を救うという責任感が希薄と受け止めるからではないでしょうか?

 介護業にもこれと共通する暗黙のルールが存在しているのではないでしょうか?提供する側にも利用する側にも共通の「ビジネスという軽いものでは許されない」という責任や期待が存在しているはずです。もっともそれ程重要で責任あるものですからわずか6年前までは国家が社会保障制度として担ってきたわけです。

 ここ数ヶ月で私の知る限りで3つの介護の会社が廃業(倒産、自主廃業など)しました。それぞれ規模の大きな事業所でした。
うち2つの会社においては前身、母体は不動産仲介業と建設業でした。1つは病院です。何故廃業せねばならなかったのでしょうか?
介護事業は保険介護である以上収支計算も建てやすく経営不振こそあれども破産など本来起こりにくい業種です。実際一昔までの(過剰な設備投資競争時代以前の)診療所に破産がなかったことをみればおよそ国の社会保険制度における事業での破産などありえないことは明白でしょう。今回の3つの会社の破産は身の丈に合わない事業拡大が原因であったと聞いています。では何が経営破綻に至るまでな事業拡大をさせたのでしょうか?

広域展開する企業においては介護職員達がさらなる事業拡大を求めていくのではありません。経営者が「もうけ」の為に事業拡大を求めたのです。経営者にとっては企業である以上利益追求は当たり前のことでしょう。まして上場することになれば株主への利益還元が何よりも優先されます。しかし社会保険制度に則った介護事業の経営本質は株主の為に利益を追求する一般企業とは社会的使命感が異なります。

介護事業所が経営破綻となった場合、その日から行き場を失う利用者、入所者、それに翻弄される家族、それを管理監督しなければならない自治体、振替え先探しに追われる同業者達・・・保険介護業には極めて大きな社会的責任が絶えず付いて回っていたことを知らなかったのでしょうか?安易に参入し、安易に経営してゆき、安易に廃業してゆく経営者が増える介護事業・・・これも介護産業としての宿命でしょうか?非常に嘆かわしい事態ですがこの業界の現状を自覚した上で自浄してゆくことも我々業界の責任です。

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